京都撮り歩き(9) 禅宗伽藍を巡るポイント&法堂天井の「龍の画」を見よう

今日の「京都撮り歩き」は寺院の建築物について、訪れる前知識として、建物の概要を整理してみました。特に京都に多い、禅宗寺院を中心にその、建築意匠を簡単に説明します。
 本山にあたる、大寺院には末寺から、多くの僧侶が修行に参ります。このため、大寺院には、伽藍と呼ばれ、いくつかの建築物が建立された、建物群から成り立っております。先ず、どんな建物があるか、整理しました。
 次に、これらの建築物には昔から、各部ごとに特殊な固有名称をもつ、様々な建築意匠があります。詳細は専門的になりますので、特にお好きな方にお任せするとして、名称リストだけを表に示しました。塔や門、庭の構造については別途の機会に整理してみます。著作権の関係で資料のスケッチを提示できないので、残念です。
別途、公開されているWebを是非、参照ください。少し、目を通しておかれ訪れることをお勧めします。
今日は、仏法を説かれる、禅宗寺院の法堂天井に描かれている「龍の画」がある寺を示しておきましたので、各禅寺を訪れた際は必ず、ご覧ください。

1伽藍の建物と名称と役割

 鎌倉時代以降、京都に作られた、禅宗のお寺は決まった、禅宗仕様と呼ばれる、建物の配置をしています。総門、(勅使門)、方生池、三門、仏殿、法堂、方丈の順に一直線に並んでいます。塔や鐘楼もこの伽藍の中に入りますが、あくまでも、付属物として、別の空間に建てられます。なお、浄土諸宗の伽藍配置には決まりがないようです。禅宗と異なり、金堂(仏殿)より、宗祖の祀る、御影堂が大きい建物とないます。(知恩院、西本願寺)。黄檗宗の万福寺の伽藍配置は独特の中国式で、一見に値します。

禅宗様
大徳寺、妙心寺の伽藍配置が代表的
総門、山門、仏殿、法堂、方丈が一直線に並ぶ
表ー1伽藍の建物
放生池
中国や日本の仏教において,捕獲した魚介を購い,生かし放つ池を称していい,慈悲行の表れを意味する
金堂
金堂(こんどう、きんどう)とは、. こんどう. 本尊を安置する寺院の仏殿のこと 仏殿、仏堂、中堂ともいわれる。
講堂
経典の講義や説教にもちいる建物です。大寺院では大人数を収容するため、本堂より大きな建物となっています。禅宗では法堂になる。
鐘楼
梵鐘が吊された建物で、多くは四方から鐘が見える「吹き放し鐘楼」ですが、袴腰鐘楼や、鐘楼門など、より高い位置に鐘をおさめた建物もあります。鐘の代わりに太鼓をおさめた物を、鼓楼(ころう)と呼びます。
鼓楼
鐘の替わりに太鼓を置く建物、京都では見かけない。
教蔵
経典などを収蔵する建物の総称です。古くでは楼造り(ろうづくり)や、校倉造り(あぜくらつくり)とされていましたが、経蔵の普及に伴い、建物の形式は特に限定されなくなりました。
教庫
経典を納める建物
宝蔵
宝物を保管する施設
僧房
寺院での僧侶の休息・食事・睡眠をするための建物です。大本山・総本山などの寺院を除き、現在ではその役割は寺務所や庫裡といった建物に置き換わっています。
食堂
食事をするところです。ここには米に縁のある大黒様が祀られます。
禅堂
僧侶が座禅する修業道場

東司
禅宗系統の特徴ある呼び名で、お手洗いを指します。初めは西司もあったということです。本堂は通常南向きに建てられます。従って本堂の両脇(東西)に諸設備が配置され、そこで働く人のため東西に設けられたのでしょう。西司は西浄せいちんとも呼ばれ、雪隠せっちんにつながったという説もあります。
法華堂
天台宗の法華教を読教須rところ。
庫裡.庫院
灌頂堂
灌頂の儀式を行う。
浴室
身を清めるところです。用途は入浴だけではなく、お手洗いを使用した後、身を清めるための水をかぶる場所としても使われます。
方丈
禅寺の長老や住持住まうところ、方一状
円堂
八角円堂の建物
戒壇堂
受戒御行う堂

②主な構造物と各部の名称
寺院の構造物として、屋根、瓦、木組、妻飾りなど、様々に意匠があります。ここでは、こんな名称の構造物がある程度で、いいのでしょうか。興味のある方は詳細構造を知るには、参考資料を持参して、実物と確認することをお勧めします。資料では写真やメモを残して、調べるのが良いと有ります。各建物ごとに概要図を添付すれば、判り易いですが、資料図を使うと著作権の関係で、添付表とします。

尚、この建築様式について非常に素晴らしい、ブログが公開されていますので、興味のある方はこちらを検索
ください。お勧めのブログです。

a,参考ブログ
      

お役立ちWeb&Hp
特にお勧め
社寺建設の造形美


b、構造物と呼び名一覧表

伽藍を構成する建築物は多岐にわたり、その構成部品も種々あります。下の一覧表を参考に各寺院を見較べていくと、愉しみが倍増します。お勧め資料は次のとおりです。筆者の場合は、とにかく、写真をとって、あとで、調べるようにしています。

                     資料 イ)日本のかたち 寺 山と渓谷社
                        ロ)イラストで学ぶ 京都の文化財 淡交社編
                        ハ〕古建築の細部意匠 近藤豊
表ー2構造物と呼び名一覧表

主要構造物名
よみ
見所詳細・構造物と用語
1
2
3
4
5
6
7
8
もん
楼門
唐門
唐破風
平唐門
向唐門
四脚門
八脚門
薬医門
三門
棟門
上土門
築地塀
仏堂
ぶつどう
祖師堂
釈迦堂
阿弥陀堂
太子堂
開山堂
観音堂
不動堂
文殊堂
屋根
やね
入母屋
寄棟
切妻
宝形
半切妻
大棟
降棟
隅降棟
稚児棟
妻降棟
かわら
本瓦
桟瓦
獅子口
経の巻
鳥衾
唐破風
隅棟
鬼板
熨斗瓦
雁振瓦
稚児棟
大棟
降棟
軒丸瓦
軒平瓦
妻飾り
つまかざり
千鳥破風
唐破風
破風板
虹梁
兎毛通
八双金物
懸魚
げぎょ
猪目懸魚
梅鉢懸魚
蕪懸魚
三花懸魚
つか
間斗束
大瓶束
円束
いのこ首束
斗栱
ときょう
連三斗
二手先
出組
出三斗
平三斗
大斗肘木
舟肘木
大斗肘木
巻斗
方斗
大斗
詰組
つめぐみ
軒桁
軒支輪
枠肘木
垂木
巻斗
通肘木
台輪
間斗束
隅桁肘木
鬼斗
延斗
尾垂木
秤肘木
伽藍
がらん
飛鳥式
四天王寺式
法隆寺式
薬師寺式
東大寺式
山地伽藍
平地伽藍
禅宗伽藍
木鼻
きばな
頭貫
大仏様
禅宗様
バク
獅子
虹梁
こうりょう
海老虹梁
繋虹梁
大虹梁
蟇股
かえるまた
板蟇股
透し蟇股
刳抜蟇股
欄間
らんま
内法長押
鴨居
格子欄間
弓欄間
菱格子欄間
花狭間欄間
筬欄間
天井
てんじょう
小組格天井
鏡天井
棹縁天井
猿ほほ天井
平縁天井
内陣
ないじん
まど
花頭窓
下地窓
格子窓
花狭間窓
連子窓
とびら
透かし桟唐戸
板桟戸
桟唐戸
入子板
八双金物
蔀戸
舞良戸
高欄
こうらん
組高欄
擬宝珠高欄
禅宗様高欄
架木
昇高欄
風鐸
ふうたく
灯籠
トウロウ
透かし彫り
方形
六角形
円形
吊灯籠
ろう
登廊
礎石
そせき
礎盤
掘立柱
敷石
しきいし
切石敷
寄石敷
玉石敷
踏分石
沓脱石
へい
築地塀

3、京都の主な禅宗寺院にある龍の天井画 (法堂(はっとう)の天井)

下に示す主な禅宗寺院に、龍の天井画があります、壮観で、圧倒されます。是非、寺院を訪れた際は忘れずに、ご見学ください。尚、参観可能日が限定されている寺もありますので、事前チェックを忘れないでください。個々の寺の絵は、写真不可ですが、ブログで公開されたものも有ります。
龍は仏教を守護する八部衆でもあり「龍神」ともいわれます。そのため禅寺の本山の多くでは法堂(はっとう)の天井に龍が描かれています。法堂は仏法を大衆に説く場所であり、龍が法の雨(仏法の教え)を降らすといわれ、また龍神は水をつかさどることから「火災から守る」という意味も込められています。巨大な絵はいずれも迫力満点。
1,天龍寺 法堂雲龍図
加山又造筆
嵐電(京福電車)
「嵐山駅」下車すぐ
土日祝日、秋の特別参拝
2.妙心寺 法堂雲龍図
狩野探幽筆
嵐電(京福電車)
「妙心寺駅」下車
徒歩約5分
通常公開
3,大徳寺 法堂雲龍図
狩野探幽筆
京都市営地下鉄
「北大路駅」下車
徒歩約15分
秋の特別公開期間(9/17
~10/7)に公開
4,相国寺 法堂蟠龍図
狩野光信筆
京都市営地下鉄
「今出川駅」下車
徒歩約10分
京阪電車
「出町柳駅」下車
徒歩約20分
秋期特別拝観期間(9/25
~12/15)に公開
5,南禅寺 法堂雲龍図
今尾景年筆
京都市営地下鉄
「蹴上駅」下車
徒歩約10分
法堂外部からの見学のみ
6,建仁寺 法堂双龍図
小泉淳作筆
京阪電車
「祇園四条駅」下車
徒歩約10分
通常公開
(注)12/28~31は除く
7,東福寺 法堂蒼龍図
堂本印象筆
京阪電車
「東福寺駅」下車
徒歩約10分
法堂外部からの見学のみ

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