名作をYoutubeで聴く(57) 古典作品の更科日記を聴く

 今日の名作をYoutubeで聴くは『蜻蛉日記』『紫式部日記』などと並ぶ平安女流日記文学の代表作の一つにあげられる「更科日記」をYoutubeで聴いてみることにします。堀辰雄が青空文庫で「更科日記など」、「姥捨」でも読めるようですが、少し改編した作品のようです。

 筆者はこの話は全く初めて聴く古典で、娘の書架に並んでいましたが、今般初めて、触れることにします。とにかく長いお話で、13歳から40数年の女性の人生を振りかえって、日記風に回顧録をまとめたものだそうです。NHKから古典朗読シリーズで、解説入りで、43巻のCDが投稿されていました。

 お勧めは2時間ほどで聴ける量のCD文庫となります。Youtubeで検索した結果を下の表に示します。受験用の講義で簡単に出だしと基礎知識を得るのも、いかがでしょうか。更科日記の解説はウキペデアがお勧めです。一読ください。

 少し更科日記解説の中身をピックアップしてみると、「平安中期の日記文学。全1巻。菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)作。1060年(康平3)ごろ成立。作者13歳のおり、父の任地上総(かずさ)国(千葉県中央部)から帰京する旅の記録に筆をおこし、以後40余年に及ぶ半生を自伝的に回想した記録。幼いころ草深い東国ではぐくまれた物語世界への幻想が、成長してのち体験した厳しい現実のなかで挫折(ざせつ)し、老残の境涯のなか、ついに信仰の世界に魂の安住を求めようとするまでの精神遍歴が描き出されている。」とあります。

また、「旅の記録は、分量的にも日記全体の5分の1ほどを占め帰京後の作者の生活は、『源氏物語』をはじめとする物語世界への耽溺(たんでき)の姿勢が強調される一方で、それを牽制(けんせい)しようとする宗教的な意識との葛藤(かっとう)のなかに描き出されております。」

「作者は宮仕えに出るが、期待した幸運は訪れず、結局は平凡な受領(ずりょう)の妻としての生活を得るにとどまった。しかし、一見安穏にみえたその生活は夫の死とともに瓦解(がかい)し、作者は仏の救済にすべてを託す心境に至ったことを記している。むしろ最晩年の孤独な境涯のなかに、人生のはかなさをかみしめる作者の諦観(ていかん)が示されている点に注目されるものがある。」と解説がありました。

 今日は「更級日記 全文朗読 左大臣光永朗読」と「更級日記(1)、(2)、(3)山下朗読」を聞いてみることにします。NHKの古典朗読講座第1回目だけは聴いてみます。長編でさすがに、手が出ませんが、トライされてはいかがですか?

更科日記をYoutubeで聴く

公開日                       2021・12・18

作品名                         更科日記

作家名                 菅原孝標女(すがわらのたらかすえの娘)

読み                          さらしなにっき

音源                          Youtube

出生地:                          ー

死亡:                          ー

分類                           古典・中国

構成

1 上洛の記

2 家居の記

3 宮仕えの記

4 物詣での記

5 晩年の記

参考文献

玉井幸助『更級日記評解』有精堂、1952年(昭和27年)

佐伯梅友『更級日記の新しい解釈』至文堂、1955年(昭和30年)

宮田和一郎『更級日記精講』学燈社、1957年(昭和32年)

関根慶子『更級日記 上・下』改版全1巻 講談社学術文庫、2015年(平成27年)

犬養廉「更級日記」『日本古典文学全集』小学館、1984年(昭和59年)

『新国語総合ガイド』京都書房

堀辰雄 更科日記(『姨捨』)

ウキペデアより抜粋 『更級日記』は、平安時代中頃に書かれた回想録。作者は菅原道真の5世孫にあたる菅原孝標の次女・菅原孝標女。母の異母姉は『蜻蛉日記』の作者・藤原道綱母である。夫の死を悲しんで書いたといわれている。作者13歳の寛仁4年から、52歳頃の康平2年までの約40年間が綴られている。『蜻蛉日記』『紫式部日記』などと並ぶ平安女流日記文学の代表作の一に数えられる。江戸時代には広く流通して読まれた。

手許CD(1) 森山京著 小林豊絵 山下朗読

Youutbe検索結果

更級日記 全文朗読 左大臣光永朗読 ★

更級日記(1)、(2)、(3)山下朗読 ★★

NHK古典講読 王朝日記の世界 【 更級日記・和泉式部 日記 】 全28回 島内 景二解説

参考 定期テスト対策『更級日記』門出・東路の道の果て他数点

作品補足事項 「更級日記」は、菅原孝標の次女に当たる作者が、11世紀半ば、50代初めの晩年に夫亡きあとの悲しみの中で、来し方を振り返って書いたと推定され、日記文学として著名です。兄は文章博士、伯母は、『蜻蛉日記』の作者に当たる環境の中で文学少女として育ちました。帰京後の作者の生活は、『源氏物語』をはじめとする物語世界への耽溺(たんでき)の姿勢が強調される一方で、それを牽制(けんせい)しようとする宗教的な意識との葛藤(かっとう)のなかに描き出されており、そうしたなかで与えられるさまざまな夢の啓示がその精神遍歴の道筋を示している。『源氏物語』について最も早い時期から言及していたとされ、貴重な資料となっている。『光源氏物語本事』に伝えられる、定家本にはない逸文からは譜と呼ばれる、おそらく注釈書のようなものの存在も知られる。堀辰雄が、この更級日記を翻案して書いたのが「姨捨」です。堀辰雄は、最後に夫が信濃国に単身赴任するところを、一緒に随いていくようにあえて改編しています。


「更科日記の手許リスト」です。MP3に変換して聞いてみます。

「更級日記 全文朗読 左大臣光永朗読」です。
全編2時間ほどです。少し難しい語りですが、いかがでしょうか。



「更級日記(1)、(2)、(3)山下朗読」です。
聴き易い、語りでお勧めの朗読作品です。


NHK古典講読 王朝日記の世界【 更級日記・和泉式部 日記 】」です。
全28回です。参考までに記しておきます。著作権上Okか?


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