京都撮り歩き(15)京都の町家・辻子めぐり&町家用語

今日の「京都撮り歩き」は町家めぐりをしてみました。寺社めぐりの合間に、京都市内の町家巡りはいかがですか。ご存知のように、京都は明治維新の時の戦火から、復興して、街が整備。発展してきました。
 第2次世界大戦で多くの都市が空襲で、街が焼けてしまいましたが、ここ京都は戦火もなく、町屋が残っており、市からの援助で、保存が奨励されています。暑い夏、冬の寒さをしのぐほか、生活の工夫が随所にあります。下の事項を事前知識として、整理してみました。上手く、活用しますと、愉しみが倍増します。
 今日は町屋を外から眺め、中を見る、合わせて、路地や辻子めぐりはいかがでしょうか。個人のプライバシーも有りますので、写真撮影は配慮が必要です。
 今日は「水彩画 京の町並みスケッチ」と「京の町家案内」という参考書をベースに見所と用語を整理してみました。さらにいくつかの素敵なHPに詳しく解説されていますので、そちらも、合わせて、参照ください。少し長くなりますが、次の項目で整理してみました。古いものを保存する、京都市民の気持ちが理解できます。

1)有料ですが、内外とも見学できる町屋
2)市内にある、町家の見られる場所と地図(通り名)
3)町家独特の呼称、用語、建物の変遷
4)みておきたい、路地、辻子のある場所


1、重要文化財などに指定され、内外とも見学できる町屋
 筆者自身は有料の町屋は未開拓で今後の愉しみの一つです。予約や公開日に制限がありますが、京都市内で手軽にご覧いただける町屋です。

 民家名  備考 参考HP他
西陣くらしの美術館「冨田屋」 有料 ・要予約西陣の呉服問屋西陣くらしの美術館 冨田屋|【京都市公式】京都観光Navi
小川家住宅有料・特別公開日のみ小川家住宅(二條陣屋) - 京都府観光連盟
杉本家住宅有料杉本家住宅 - 京都府観光連盟
角屋有料角屋もてなしの文化美術館|【京都市公式】京都観光Navi
西村家別邸有料西村家庭園|【京都市公式】京都観光Navi
冷泉家特別公開日のみ京都観光Navi:藤原定家ゆかりのをたどる
滝沢家住宅有料京都府京都市左京区 瀧澤家住宅
京都市伝統産業振興館「四条京町家」無料四条京町家
京都生活工藝館「無名舎」有料・要予約京都生活工藝館無名舎|【京都市公式】京都観光Navi
紫織庵有料紫織庵
秦家住宅有料・要予約秦家住宅|スポット情報|観光ガイドそうだ 京都、行こう

2、町並みスケッチの著者が見つけた、町家のある場所

この本を図書館で見つけ、下の案内図を参考にいくつか巡って、写真をとりました。スケッチした場所の写真もあり、お勧めの資料です。撮影ポイントが多いので、取捨選択が必須でしょう。
          資料名「水彩画・京の町並みスケッチー丸・竹・夷ではじまる大路・小路」貝川著

  撮影ポイントは東西通りと南北通りに○印で示されています。適宜拡大ください。

京都市内の東西通りにある、町家

京都市内の南北通りにある、町家

3.町屋の用語について

京町家独特の呼称・用語があります。巡る前に事前に用語を掴んでおくと、愉しいと思います。町屋 の外側と内部に区別して整理しました。写真は非常に多くでていますが、次のHPがお勧めです。参考資料は「京の町屋案内 暮らしと意匠の美」淡交社編をお勧めします。

http://www.kyo-machiya.jp/mametishiki/   はんなり京町家
https://www.hachise.jp/kyomachiya/isho/isho_1_1.html   京町家事始

a,京町家を外から見る。

屋外から観る町家の風情
犬矢来雨の跳ね返りから家の壁を保護するように巡らされた、竹製の囲いのこと。シンプルな曲線美が見事
卯建(うだつ)建物の妻側の壁を、大屋根より一段高く立ちあげて小屋根をつけたものを卯建といいます。古くは一軒の独立を表す象徴の意味合いでもありましたが、壁に漆喰が塗られるようになると防火、延焼防止の機能も備わってきました。
ガス燈 文明開化の頃に流行。大正期には姿を消し、現代の京町家に灯るものは複製品も多い。凝った意匠が見どころ。
煙出し(けむりだし)竈のある上部で、屋根の棟部分に開口部を設けて、その上に小さな屋根がつくられたものを煙出しといいます。竈などで炊事をした煙を屋外に出すものです。
格子 格子は町家の大きな特徴。外からは内部が見えにくく、中からは外の様子がわかるという機能的なもので、その種類やデザインは職業などによって異なる。西陣などでよく見られる「糸屋格子」は、格子の上部を切り止めることで光を多く取り入れ、着物の柄などがよく見えるようにしたもの。「茶屋格子」はより中が見えにくい造り。応仁の乱の後、自衛のために設けられるようになったと言われる。その形状は職業により異なり、室内に光を取り込みたい織物業などに多くみられるのは「糸屋格子」。米俵や酒樽など大きなものが運び込まれる際にぶつかってもいいように頑丈に作られた「酒屋格子」「炭屋格子」、店を仕舞ったことに由来する「仕舞屋格子」などがある。
駒寄馬に乗って来た客が、手綱をくくりとめたものの名残と言われる。人馬の侵入を防ぐために設けられたという説も。
鍾馗 唐に由来するという、魔除けの神。威嚇するようなするどい目つきのものが多いが、なかには柔和なものも。
簾(すだれ)簾は、細く割った竹や葦(よし)、麦藁(むぎわら)などを麻や綿の撚り糸で編み、一枚の板状にしたもので、簾掛けから下げたり、巻き上げたりして使用します。夏の暑い照り返しや西日などを遮ります
出窓(でまど)格子が取り付けられた出窓の内側は、障子やすりガラスなどの内戸が入っています。

風通しや採光はいうまでもありませんが、出窓によって狭さを和らげる配慮があります。単一となりがちな表構えに、独自の美意識を感じさせる出窓は、京町家の趣を表現するものでもあります
忍返し(しのびがえし)
表戸や内戸のかんぬき錠前や、竹を利用した犬矢来、土壁の虫籠窓で防御をしますが、町家のなかに侵入させないための撃退策が忍返しです。竹の先端を槍の先のように切り落としたものや、鉄棒などの先端を削るか叩き上げて針や斧状にしたもの、平鋼の先端を弓状に折り曲げたものなど、それらを屋根や塀や門の頂部に取り付けます。
暖簾
風通しがよく、京都の蒸し暑い夏を涼しげに演出してくれる。日除けや目隠しの役割も。京町家の風情を引き立てる。
バッタリ床机 
壁に作りつけになっていて、朝下ろして商品を並べ、夕刻閉店するときには折りたたむ。陳列棚のような役割。
一文字瓦 
軒先の瓦の端がすぱっと切り落したように真一文字になっている、京町家の特徴の一つ。すっきりとした印象と町並みの統一感を生み出している。
虫篭窓
京町家特有の低い二階(厨子二階)にある、塗り壁の窓のことで、その姿形が「むしかご」のようだから、とされるのが通説。バリエーションも多く、デザインを見るだけでも楽しめそう。二階の通風や採光のために設けられたもので、古いものほど小さい場合が多い。姿を消しつつある意匠の一つ。


b、京町屋の室内

屋内から観る町家の風情
網代天井 
うすく裂いた葦や檜などを編んだ天井のことで、茶室や数寄屋風の座敷などでよく見られる。
井戸 
地下水に恵まれていた京都ではいまも井戸の残る町家は多い。環境の変化により、近年では涸れてしまったところも
大戸・くぐり戸
大きな資材などを搬入する際は大戸、夜間や家人の出入りには大戸の一部に設けられたくぐり戸と、使い分けした。
おくどさん 
親しみや感謝の気持ちを込めて、くど(かまど)に「お」「さん」をつけるのは京都ならでは。上には、愛宕神社の「火廼要慎」のお札と、かまどの神さまである「布袋さん」が祀られることが多い。
奥の間
大切なお客を通す座敷で、庭に面し、床の間は季節によってしつらいを変えた。広い屋敷の場合は二間続きで、違い棚や書院、欄間、天井それぞれの木材などにも趣向が凝らされている。
階段箪笥元は踏み段の下を利用して箪笥にしたもの。実際には階段としては用いられず、「階段の形をした箪笥」も多い。
隠し階段 
狭い京町家では、押し入れのスペースを使って階段にすることが多かった。急な傾斜も、省スペース実践のため。

火事やネズミから穀物や商品、財宝を守るため、壁は漆喰で厚く塗り込まれている。そのため、真夏でも内部はひんやりしており、現在では部屋として利用するために改装するところも
下地窓壁の一部を塗り残したように下地をわざと見せた窓。かすかな明かりを取り入れるために、茶室に好まれた。
つくばい
通本来は手水鉢として使われたつくばいも、今では庭に涼を呼ぶアクセント
坪庭
風通しと採光をかねて、建物の奥部や途中に設けられた小さな庭。表にある庭を前栽と呼んで区別している。小さいながら、灯籠や庭石に趣向を凝らしたものが多い。
通り庭
表から裏口まで続く土間のこと。表側の「店庭」と、流しがあるプライベートな空間の「走り庭」とに分かれ、「走り庭」は吹き抜けで梁が見える。奥行きのある京町家の、風の通り道でもある。

屋根を支え、柱を固定するために天井を横切らせた太い木。飛騨地方などに比べ、京町家の梁は総じて細く繊細。
火袋
ハシリの上部に広がる吹き抜け空間のことで、「ひぶくろ」と呼ばれる。炊事の熱気や煙を逃がす空間であり、火事の際に周囲への延焼を防ぐため火を閉じ込める役割を持つ。左右に開口部が取れないため、天窓を設け手元に灯りを落とした。 行きかう梁の造形は、大工の腕の見せ所であり、「準棟纂冪(じゅんとうさんぺき)」と称される。

c、町家の変遷

町家の変遷
厨子二階(つしにかい)
「つしにかい」と読む。または「中二階」とも呼ばれる。江戸~明治にかけて建てられた古い様式。ミセノマの真上にあたる部屋の天井が低いことが特徴で、昔は主に物置や使用人の寝泊まりに使われていた。2階には開口部として虫籠窓を伴うことが多い。
総二階明治末期から大正にかけて建てられた様式。2階の天井を高くし、居住用として使われるようになる。 時代の流れとともに、塗り込めの虫か籠窓が、ガラスの窓に変化する様子が見受けられる。
仕舞屋「しもたや」と読む。表にミセノマを持たず、店を「仕舞った」ことにちなんでこのように呼ばれる。 表向きは住居専用であるが、家賃などで収入を得て自営をしない、資産活用の先駆けとも言える。開口部が小さく出窓のような格子になっていることが多い。
大塀造
「だいべいづくり」と読む。仕舞屋の発展型で、裕福な商人や医者などが住宅専用に建てた塀付きの町家。道に面して塀を立たせ、前栽をはさみ奥に建物が建つ。建物が道路に面していないことが特徴。規模の大きなものになると、母屋の手前に洋館造が建てられていることもある。
4、路地・辻子を巡る

京の町並みは平安遷都以来、庶民の町屋区画も変化しています。その面影が随所でみられますが、民家をつなぐ小さいの道も様々に変化します。面白い名前の路地・辻子を整理してみました。袋小路も面白いテーマです。是非、いくつか、巡ってはいかがでしょうか。参考資料 「京都図鑑」JTB場プリシング編

路地
あじき路地
あじき路地(あじきろうじ、あじきろおじ)は、京都府京都市東山区にある長屋である。 概要[編集]. 明治時代末期に建てられた京町家で、12軒が連なっている。かつては祇園の芸者が生活していた。
団栗辻子川端通と団栗通(四条下ル)の交差点と大和大路通までの東西の通を称した。名前の由来は、江戸時代にこの鴨川沿いに大きな団栗の木があったため橋の名称とともに東西の通にも名付けられた。
膏薬辻子
京都「神田明神」があるのは地下鉄烏丸線・四条駅からすぐの「膏薬辻子(こうやくのずし)」という路地の中。『京都手帖』の表装等を手がける木版画店「竹笹堂」や重要文化財「杉本家住宅」もあり、参拝と共に風情溢れる路地歩きが楽しめます
狩野辻子元誓願寺通小川東入ルには狩野元信が住んだという狩野辻子,油小路今出川上ルには本阿弥光悦の生家があったという本阿弥辻子など,文化・芸術の薫り高い旧跡が各所に点在
山名辻子今出川通堀川の一筋北を西行する小道で、山名町から藤木町に通貫している。山名宗全の邸宅がこの一帯にあったことが名前の由来。応仁の乱で山名宗全がここに陣を構えたことが、「西陣」の由来となっている。
まんだら辻子 「まんだらの辻子」は、大宮通上立売上ル 一筋目を東行する小路です。 樋之口町・蔓陀羅町を通貫している。昔、蔓陀羅町は別名を「當麻裏町(たへまうらちょう)」と称していました




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