京都撮り歩き(17)京の仏像めぐり
今日の「京都撮り歩き」は京都にある、いくつかの寺院の仏像をめぐってみます。寺社の建築意匠、庭園の形を見ることに加え、文化財としての仏像や絵画を見ることは京都を訪れる際の重要な見所の一つです。
今日は仏像について、事前に基礎的な事項を予備知識を含めて、国宝の仏像のある寺を紹介していきます。京都の仏像については、多くの参考書が出ていますので、携行できる、簡単な参考書を持参して、訪れることをお勧めします。今日の仏像を見るポイントを整理すると、次のように3項目となります。仏像については非常に多くの参考書やHPが出ています。筆者の手許にも10冊近くあります。やはり、スケッチ付が必須でしょうか。
京都の仏像は殆ど、写真撮影が許可されていません。また、公開日も限定されていますので、上手く日程調整と確認が必須となります。見学者が個々に内緒で撮られた、HP写真にご注意ください。あくまでも、お寺の了解を得たプロの写真撮影が大事な情報源でしょうか。
①京都にある国宝級の仏像は、重要文化財の仏像はどのくらいあるのか、作られた時代は
②国宝級、重要文化財の仏像はどの寺にあるのか、
③仏像を見るときのポイントは、形や種類を簡単の基礎事項は
お勧めの参考書とHP
①原寸大「日本の仏像」 京都編 講談社
②仏像の事典 熊田著 誠美堂出版
③京都仏像めぐり JTBパブリシング (携行にベスト)他
HPは京阪電鉄発行の「おけいはんの京都つうのすすめ」がわかり易い解説で
お勧めです。
1、京都にある仏像
①、② 項の京都で見ることのできる仏像とどこにあるかは、文化庁のデータベースがHP(彫刻)で公開されており、ダウンロードも可能です。京都府、時代別、種別に検索した結果を記します。ユニークな仏像も数多くあります。やはり、別途、参考書やHPでご確認ください。
時代別に分けると下の表となりますが京都は平安時代の作品が圧倒的に多いようです。やはり、重要文化財が多く、とても、学者でない、筆者では、手に負えない数のようです。意外と室町以降の作品がすくないようです。
表① | |||||
時代 | 国宝 | 重要文化財 | 小計 | 国宝詳細 | |
飛鳥 | 2 | 0 | 2 | 木造弥勒菩薩半跏像 2体 | |
奈良 | 2 | 6 | 8 | 釈迦如来座像、十一面観音立像 | |
平安 | 29 | 215 | 244 | 別途一覧表② | |
鎌倉 | 5 | 129 | 134 | 弘法大師座像、千手観音座像、千手観音立像、木造二十八部衆立像、風神、雷神像 | |
南北朝 | 0 | 0 | 0 | ||
室町 | 0 | 10 | 10 | ||
安土桃山 | 0 | 2 | 2 | ||
江戸 | 0 | 4 | 4 | ||
明治 | 0 | 0 | 0 |
国宝に限定してデータを整理してみると、下の表②の通りとなりました。訪れるべき寺が浮きあがります。下の表から、仏像の好きの方は東寺、三十三間堂(妙法院)平等院、広隆寺、鞍馬、醍醐寺、清涼寺、仁和寺などの、寺院をはずせないのではとおもいます。
文化庁のデータはどなたでも検索可能です。訪れる前に、国宝以外の重要文化財のデータも取得されることをお勧めします。CSVデータで簡単にエクセルなどに貼り付けることができます。
文化庁のデータはどなたでも検索可能です。訪れる前に、国宝以外の重要文化財のデータも取得されることをお勧めします。CSVデータで簡単にエクセルなどに貼り付けることができます。
表②
場所 | 種別1 | 彫刻名 | 時代 |
広隆寺 | 国宝 | 木造弥勒菩薩半跏像 | 飛鳥 |
広隆寺 | 国宝 | 木造弥勒菩薩半跏像 | 飛鳥 |
蟹満寺 | 国宝 | 銅造釈迦如来坐像(本堂安置) | 奈良 |
観音寺 | 国宝 | 木心乾漆十一面観音立像(本堂安置) | 奈良 |
三千院 | 国宝 | 木造阿弥陀如来及両脇侍坐像(往生極楽院阿弥陀堂安置) | 平安 |
清凉寺 | 国宝 | 木造阿弥陀如来及両脇侍坐像(棲霞寺旧本尊) | 平安 |
仁和寺 | 国宝 | 木造阿弥陀如来及両脇侍像(金堂安置) | 平安 |
平等院 | 国宝 | 木造阿弥陀如来坐像〈定朝作/(鳳凰堂安置)〉 | 平安 |
広隆寺 | 国宝 | 木造阿弥陀如来坐像(講堂安置) | 平安 |
法界寺 | 国宝 | 木造阿弥陀如来坐像(阿弥陀堂安置) | 平安 |
浄瑠璃寺 | 国宝 | 木造阿弥陀如来坐像(本堂安置) | 平安 |
平等院 | 国宝 | 木造雲中供養菩薩像(所在鳳凰堂) | 平安 |
醍醐寺 | 国宝 | 木造虚空蔵菩薩立像 | 平安 |
神護寺 | 国宝 | 木造五大虚空蔵菩薩坐像(多宝塔安置) | 平安 |
宗教法人教王護国寺 | 国宝 | 木造五大菩薩坐像(講堂安置) | 平安 |
宗教法人教王護国寺 | 国宝 | 木造五大明王像(講堂安置) | 平安 |
宗教法人教王護国寺 | 国宝 | 木造四天王立像(講堂安置) | 平安 |
浄瑠璃寺 | 国宝 | 木造四天王立像 | 平安 |
六波羅蜜寺 | 国宝 | 木造十一面観音立像(本堂安置) | 平安 |
広隆寺 | 国宝 | 木造十二神将立像(伝長勢作) | 平安 |
宗教法人教王護国寺 | 国宝 | 木造女神坐像 | 平安 |
妙法院 | 国宝 | 木造千手観音立像(蓮華王院本堂安置) | 平安~鎌倉 |
広隆寺 | 国宝 | 木造千手観音立像(所在講堂) | 平安 |
法性寺 | 国宝 | 木造千手観音立像 | 平安 |
宗教法人教王護国寺 | 国宝 | 木造僧形八幡神坐像 | 平安 |
宗教法人教王護国寺 | 国宝 | 木造天蓋 | 平安 |
平等院 | 国宝 | 木造天蓋(所在鳳凰堂) | 平安 |
鞍馬寺 | 国宝 | 木造毘沙門天及〈吉祥天/善膩師童子〉立像〈/(本堂安置)〉 | 平安 |
広隆寺 | 国宝 | 木造不空羂索観音坐像(所在講堂) | 平安 |
宗教法人教王護国寺 | 国宝 | 木造不動明王坐像(御影堂安置) | 平安 |
宝菩提院 | 国宝 | 木造菩薩半跏像〈(伝如意輪観音)/(本堂安置)〉 | 平安 |
宗教法人教王護国寺 | 国宝 | 木造〈梵天 坐像/帝釈天半跏像〉(講堂安置) | 平安 |
醍醐寺 | 国宝 | 木造薬師如来及両脇侍像(薬師堂安置) | 平安 |
仁和寺 | 国宝 | 木造薬師如来坐像〈円勢、長円作/(北院旧本尊)〉 | 平安 |
神護寺 | 国宝 | 木造薬師如来立像(本堂安置) | 平安 |
宗教法人教王護国寺 | 国宝 | 木造弘法大師坐像〈康勝作/(御影堂安置)〉 | 鎌倉 |
妙法院 | 国宝 | 木造千手観音坐像〈湛慶作/(蓮華王院本堂安置)〉 | 鎌倉 |
妙法院 | 国宝 | 木造千手観音立像(蓮華王院本堂安置) | 鎌倉 |
妙法院 | 国宝 | 木造二十八部衆立像(所在蓮華王院本堂) | 鎌倉 |
妙法院 | 国宝 | 木造〈風神/雷神〉像(所在蓮華王院本堂) | 鎌倉 |
、
参考書*には公開日を特に注意する、寺が記載されていましたので表③に示します。
公開日・所在地は必ず、事前にチェックするようお願いいたします。(*仏像の事典)
表③
六波羅蜜寺 | 国宝 | 木造十一面観音立像(本堂安置) 12年毎 | |
峰定寺 | 重文 | 千手、不動、毘沙門天像 | |
仁和寺 | 国宝 | 木造薬師如来坐像〈円勢、長円作/(北院旧本尊)〉 | |
神護寺 | 国宝 | 木造薬師如来立像(本堂安置) | |
浄瑠璃寺 | 重文 | 三重塔薬師如来座像、吉祥天像 | |
北向不動院 | 重文 | 不動明王半跏像 | |
行願寺 | 未 | 千手観音立像 | |
教王護国寺 | 国宝 | 宝物舘 | |
清凉寺 | 国宝 | 木造阿弥陀如来及両脇侍坐像(棲霞寺旧本尊) | |
醍醐寺 | 国宝 | 木造薬師如来及両脇侍像(薬師堂安置) | |
広隆寺 | 重文 | 太子殿、桂宮院 | |
真正極楽寺 | 重文 | 阿弥陀如来立像 | |
西芳寺 | 重文 | 阿弥陀如来座像 | |
大小軍八神社 | 重文 | 宝物舘 |
2.仏像を見るポイント
詳細は別途、参考資料、HPなどをご覧いただくとして、紙面の関係で基本の’き’を下表に記しました。是非、参考書のスケッチ、写真も合わせて、ご覧ください。
仏像独特の呼称もあり、今回は筆者も初めて、学ぶことができたようです。仏像の位(ランク)と役割、具体的な呼称を下の表④に示します。
第126回 京の仏像スペッシャル
表④
仏像のランク | 仏像の役割 | 仏像の種類 | ||
如来【にょらい】 | 悟りを開いた者という意味の如来。仏の世界では最高位にあたり、人々を教え導き救済する仏のリーダーとして、指導力を発揮します。悟りを開いた頃の釈迦の姿をモデルとしていて、衣1枚をまとっただけの姿が特徴です。 | 釈迦如来、薬師如来、阿弥陀如来、大日如来 | ||
菩薩【ぼさつ】 | 悟りを求めて自身も修行し、如来になることを目指しながら、人々の救済に力を注ぐ仏様。学校で言うなら、校長である如来の補佐を務める教頭先生といった存在。王子時代の釈迦がモデルのため、インドの王族のように多くの装飾品を身に付けファッショナブルな姿が特徴。 | 聖観音菩薩、千手観音菩薩、文殊菩薩、金剛虚空菩薩 | ||
明王【みょうおう】 | 「邪悪を打ち砕く使者」として、如来の教えに従わない人々を強い怒りによって正しい道へと導く大日如来の化身。密教から生まれた仏様です。学校で言うと厳しい生活指導の先生。逆立った髪や怒った表情が特徴で、手には様々な武器を持っています。 | 五大明王、不動明王、愛染明王 | ||
天部【てんぶ】 | 古代インドの神々が仏教の世界へ帰依して、天界に住むことで、天部と呼ばれるようになりました。仏の教えを守り現世利益をもたらす神々として、200以上のバラエティー豊かなグループがあり、中には女性の神様もいます。 | 四天王、吉祥天、毘沙門天、大黒天 | ||
八部衆 | 仏教と信者を守る神々 | 阿修羅他、守護集団、風神、雷神も入る。 | ||
十大弟子 | 偉大なる釈迦の弟子達 |
最後に仏像の手の組み方(印)持ち物、光背、台座の目的・形・種類を簡単に記します。
表⑤
印 | お釈迦様が教えをわかりやすく伝えるために身振り、手振りを交えて説法したことが元 | 定印、与願印、合掌印、施無畏印、智拳印、説法印、九品来迎印他 | ||
仏像の持ち物 | 仏像は様々な持物(じぶつ)を手にしています。怨敵を鎮める独鈷杵や願いをかなえる宝珠など持物には意味があり、その持ち物から如来や菩薩など仏像の種類を見分ける鍵にもなります。 | 水瓶、薬壷、宝剣、羂索、錫杖、弓、宝輪 他 | ||
仏像の光背 | 仏様は光の中にいるとされ、その光を形にしたものが光背です。頭の背後にある頭光(ずこう)と全身を覆う挙身光(きょしんこう)に分けられ、仏像の種類や造られた時代によって放射光や二重円光など様々な形があります。 | 円光、放射光、火焔光、宝珠光、舟形光、二重円光、飛天光 他 | ||
仏像の台座 | 台座は仏像が安置されている台のことで、釈迦の座った場所を表しています。ハスの花がモチーフの蓮華座や、仏が雲に乗って来迎する様子を表した雲座(うんざ)など多くの種類があります。動かない最強の守護神・不動明王なら岩の堅固さを表した瑟瑟座(しつしつざ)が使われるなど仏像のタイプによって形が決まっているものも。 | 蓮華座、裳懸座、岩座、鳥獣座、須彌座、雲座他 |
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