日曜日の落語(第54回)くやみ、言い訳座頭、疝気の虫

今週の落語は「くやみ」、「言い訳座頭」と「疝気の虫」の3題を選びました。3題とも円生、小さん、志ん生のそれぞれ3人の名人の語りがありました。「くやみ」は上方の枝雀と円生と同じ演題で少し、おくやみの仕方が異なるので、解説に悩みました。胡椒の悔やみとは違うようです。

「くやみ」は葬儀の席でどういう挨拶がいいのか悩む人、意味の無い挨拶をしてかえる人、商売を説明する人、かみさんの自慢話をする人、色々なおくくやみが登場する、受付で困る人の対応の掛け合いが面白い噺。上方と関東落語と少し、くやみ方が違うようです。

「言い訳座頭」は珍しく、小さんしか、演じているアルバムがなく、解説本にも無い演目でした。大晦日に掛け取りの言い訳を頼まれた座頭が、自分の方から商家へ出掛けて言い訳をして歩いているうちに、 除夜の鐘が鳴るという噺。貸すほうも、日延べを依頼するにも、それなりに、技術を要するという噺

「疝気の虫」は藪医者が、 疝気の虫から、 「好物の蕎麦を食べて大暴れし、苦手な唐辛子が体に付くと体が腐る」 と聞く夢を見て、患者に試す。 疝気に悩む主人の疝気を蕎麦を食べた奥さんに疝気を移して、唐辛子水を飲まして疝気を別荘(睾丸)へ追い込むが、女性には別荘がないという噺。この噺は談志盤がYoutubeで見つかりました、是非お試しください。



今週の落語

日時ニチジ              2017・3・12
ジャンル                 落語ラクゴ
音源オンゲン                 CD
演者エンジャ 桂枝雀 五代目柳家こさん 五代目古今亭志ん生
分類ブンルイ
演題エンダイ  くやみ ワケ座頭ザトウ せんきのムシ
出典シュッテン
その他演者名 三遊亭園生 六代目  落語 「疝気の虫」 立川談志 - YouTube


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演題エンダイコメント
上方の枝雀では、葬式のくやみに来る、受付けの人が、とんでもないくやみをする人に接する噺で、商売の説明や、かみさんの自慢が始まる。円生のほうの噺は旦那が亡くなり、 甚兵衛は女房に悔やみの文句を教わってお店へ行くが、 他の弔問客も、 きちんと悔やみを言える者はいない。受ける番頭はここでもいろんなくやみの挨拶が登場する という噺。こちらは作法も面白い このままでは年を越せない長屋の甚兵衛夫婦。大晦日、かみさんが、口のうまい座頭の富市に頼んで、借金取りを撃退してもらうほかはない
と言うので、甚兵衛はなけなしの一円を持って早速頼みに行く。普通は、借金取りの取り立てが激しく、債務者が閉口すると言うのが常識なのですが、反対に、借金取りが債務者を持て余す と言うところに、誠に落語らしい可笑しさがあります。
変な虫を見つけたお医者。つぶそうとすると、なんと虫が口をきく。その虫の告白によると、彼は『疝気の虫』といい、人の腹の中で暴れ、筋を引っ張って苦しめるのを職業にしているという。 そのお医者は「疝気」の治すことを研究しており、「これは狐狸妖怪の類がわしをだまそうとしておるな」と 疑いつつ、虫との会話を続け




上方で作られた、落語も関東に移ると、大幅に改定されて、どちらが主流か難しいところが落語の世界。
解説本の「胡椒のくやみと」は「胡椒のくしゃみ」の誤りで今日の題材の「くやみ」と随分、混乱しました
落語も、演じる人が、数人いると、聴き比べがたやすく、オチも判りやすいのだが、演者が少ないと、良く聴かないと、似たような演題で苦労することがわかりました。

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