名作をYoutubeで聴く(44) 水上勉を聴く

 今日の名作をYoutubeで聴くは流行作家として、活躍され、膨大な小説や随筆の作品を残し、原作が多数、映画化、TVドラマ化された「水上勉」の作品を朗読でいくつか聴いてみることにします。福井県出身で、京都の禅寺に預けられ、不遇の時代を過ごしたことでも知られています。

 代表作の「雁の寺」は孤峯庵は架空のものであり存在しないが、『孤峯庵から、等持院の裏林に出て、東亜キネマの撮影所のわきから、白梅町に出た。 北野天神をぬけて、上七軒を通ればすぐ千本今出川であった。 慈念は背がひくいわりに、足が早かった』といった記載があり、この界隈を舞台としている。」といわれています。

 手許には朗読作品は「雁の寺」だけで、Youtubeで他の朗読作品を期待しながら、検索しましたが、殆ど、みつかりませんでした。昨日の「司馬遼」と大きな違いがあります。内容が独特で、朗読として採りあげる機会が少ないようですが、幸い、原作を映画化(映像は古いですが)された作品がいくつか視ることができます。懐かしい俳優がでてきます。

 水上勉については、ウキペデアに詳細に「人となりと作品紹介・作風など」が載っていますので、一読ください。いくつか、ピックアップしてみると「水上自身は「週刊誌も月刊誌もどこでも殺人小説を歓迎していた。ところが当人の私は『雁の寺』を書いて、毎晩うなされるようになった。人殺しのことばかり考えてそれを書きつづけてくたくたになる日常は、異常であった」「小説を書く気力を失っていった。考えたことは『誰を殺すか』ではなくて、『誰を生かさねばならぬか』ということのようであった」(『金閣と水俣』)と考えており、直木賞受賞を機に師の宇野浩二や中山義秀からも人間を書くようにと言われたことで推理小説からは遠ざかるようになった。」とあります。

 又、「『五番町夕霧楼』と『金閣炎上』は金閣寺放火事件がモチーフであり『五番町夕霧楼』について奥野健男は、三島由紀夫の『金閣寺』が「敗戦により挫折した世代の一員としての共感と、唯美主義の立場」から事件を捉えているのに対し、犯人の青年と同じ山陰の寒村から京都の寺に預けられたという似た経歴を持つ水上は、同郷の女郎となった少女との「色欲を超えたおたがい不幸をなめあうような宿命的な愛といつくしみ」を通して描くことができたと述べている」とも有ります。三島由紀夫と違う視点で、金閣炎上を捉えているとあります。

 Youtubeの検索結果を下に示します。著作権の関係で、公開に制限があるようです。映画・NHKの放送番組なども、突然、削除される可能性もありそうです。NHKの日曜名作座が、お勧めです。今日はリストから「女の森で」、「ブンナよ木からおりてこい」、「はなれ瞽女おりん」と映画作品の「飢餓海峡」を視聴してみることにします。「雁の寺」と「五番町夕霧楼(抜粋版もあり)」は映画で見れるようです。

Youtubeで水上勉を聴く

公開日                        2021・10・30

作家名                          水上 勉

読み                          みずかみ つとむ

音源                          Youtube

出生地:                    福井県 大飯郡本郷村(おおい町)

死亡:                        2004年9月

分類                          現代小説

主な賞暦と作品

主な賞暦

日本探偵作家クラブ賞(1961年)

直木三十五賞(1961年)

菊池寛賞(1970年)

吉川英治文学賞(1973年)

谷崎潤一郎賞(1975年)

川端康成文学賞(1977年)

毎日芸術賞(1984年)

日本芸術院賞・恩賜賞(1986年)

文化功労者(1998年)

旭日重光章(2004年)

主な代表作

雁の寺』(1961年); 『五番町夕霧楼』(1963年); 『越前竹人形』(1963年); 

    『飢餓海峡』(1963年); 『一休』(1975年); 『金閣炎上』(1979年)

1985年以降作品抜粋

『箒川』新潮社 1986

『秋夜』福武書店 1986 のち文庫、小学館

『瀋陽の月』新潮社 1986 のち文庫

『沢庵』学習研究社(書きおろし歴史小説シリーズ)1987 のち中公文庫

『生きる日死ぬ日』福武書店 1987

『釈迦内柩唄』若州一滴文庫 1987 のち新日本出版社

『現代民話』平凡社 1988 のち同ライブラリー

『才市』講談社 1989 のち講談社文芸文庫

『出町の柳』文藝春秋 1989(短編集『オール讀物』1987年4月号-1989年5月号) のち文庫

『山の暮れに』毎日新聞社 1990 のち集英社文庫

『竹の花』若州一滴文庫 1991 水上勉肉筆画一葉入り 限定五十部出版

『寺泊』若州一滴文庫 1992 水上勉肉筆画一葉入り 限定五十部出版

『醍醐の桜』新潮社 1994(短編集)

『清富記』新潮社 1995 のち文庫

『故郷』集英社 1997 のち文庫(『京都新聞』『福井新聞』ほか地方紙 1987年7月-)

『虚竹の笛-尺八私考』集英社 2001 のち文庫

『たそ彼れの妖怪たち』幻戯書房 2003(短編集)

『花畑』講談社 2005(『群像』1993年-94年)

『筑波根物語』河出書房新社 2006(『中央公論』1965年8-11月号)(横瀬夜雨のこと)

他、随筆、児童向け作品、映画化、TVドラマ化作品多数

ウキペデアより 水上 勉(みずかみ つとむ、1919年3月8日 - 2004年9月8日)は、日本の小説家。福井県大飯郡本郷村(現:おおい町)生まれ。社会派推理小説『飢餓海峡』、少年時代の禅寺での修行体験を元にした『雁の寺』、伝記小説『一休』などで知られる。禅寺を出奔して様々な職業を経ながら宇野浩二に師事、社会派推理小説で好評を博して、次第に純文学的色彩を深め、自伝的小説や女性の宿命的な悲しさを描いた作品で多くの読者を獲得。その後は歴史小説や劇作にも取り組む一方、伝記物に秀作を残した。作品の映像化も多い。日本芸術院会員。文化功労者

手許CD(1) 雁の寺

Youtube検索結果

朗読作品

日曜名作座 水上勉原作 女の森で ★★

『ブンナよ木からおりてこい』水上勉★★ (長編)

06 水上勉 雁の寺 第8章より ★

07 水上勉 越前竹人形 冒頭部分より ★

08 水上勉 若狭幻想 その一 おんどろどんより 

 水上勉原作「はなれ瞽女おりん」★★ 

水上勉『しがらき物語』抄 信楽は琵琶湖の南の山中にある古い焼き物の町である 

      もっとも美しいと思ったのは…〈名文一席 文英亭〉

映画化作品

a fugitive from the past (strait of hunger) 飢餓海峡 ★★

he temple of wild geese 1962 eng sub 雁の寺 ★★

妙好人浅原才一と作家水上勉

五番町夕霧楼★★

作家補足事項ウキペデアより抜粋 主に北陸や京都などを舞台にとった、貧しい庶民の生活を題材にした暗い叙情的な作品は「水上節」とも称された。一時は月産1200枚をこなす人気となり、松本清張、笹沢左保、梶山季之と並ぶ推理界の量産作家四天王とも呼ばれた。また直木賞受賞後に、文藝春秋社の講演旅行で親しくなった柴田錬三郎に薦められてゴルフを始め、柴田の催す球々会にも参加、また軽井沢の貸別荘で夏を過ごすようになり、そこで丹羽文雄にゴルフの手ほどきを受けるなど、文壇での交友を広げた。小林秀雄とも講演旅行がきっかけで懇意となり、湯河原で一緒に正月を過ごすことが20年ほど続き、小林は瀬戸内晴美に向かって、作家としての「才能の山」を持っている作家として水上を挙げていた。

原作の映画化された作品 (いくつかYoutbeに投稿されています。

『霧と影』第二東映 1961年、丹波哲郎

『雁の寺』川島雄三監督、大映、1962年、若尾文子、木村功

『越前竹人形』吉村公三郎監督、大映、1963年、若尾文子、山下洵一郎

『五番町夕霧楼』田坂具隆監督、東映、1963年、佐久間良子、河原崎長一郎

『越後つついし親不知』今井正監督、東映、1964年、三國連太郎、佐久間良子

『波影』豊田四郎監督、1964年、若尾文子、中村嘉葎雄

『沙羅の門』久松静児監督、1964年、森繁久弥、団令子

『飢餓海峡』内田吐夢監督、東映、1965年、三國連太郎、左幸子

『湖の琴』田坂具隆監督、東映、1966年、佐久間良子、中村賀津雄

『あかね雲』1967年、松竹、篠田正浩監督、岩下志麻、山﨑努

『はなれ瞽女おりん』篠田正浩監督、東宝、1977年、岩下志麻、原田芳雄

『父と子』保坂延彦監督、サンリオフィルム、1983年、小林桂樹、中井貴一

『土を喰らう十二ヵ月』中江裕司監督、日活、2022年(予定)、沢田研二



手許の「雁の寺」です、朗読者が異なる2点があるようです。



「女の森」です。全3巻が揃っている朗読作品でみつかりました。

「ブンナよ木からおりてこい」です。
長編で、音のみで、画像はありません。いかがですか

「はなれ瞽女おりん」です。珍しい語りが聴けます。

「飢餓海峡の映画」です。英文の表題ですが、飢餓海峡の様です。
懐かしい俳優が登場します。


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