奈良撮り歩き(17)斑鳩の法輪寺を巡る

  今日の奈良撮り歩きは前週の中宮寺から徒歩15分程の法輪寺をご案内します。法輪寺は斑鳩の里の牧歌的な雰囲気に建つ、こじんまりしたお寺です。伽藍の配置は法隆寺と同じで、門を入ると左に三重塔、右が金堂、奥に講堂が並びます、回廊の部分はコンクリート製の塀で囲まれています。

 ここの三重の塔は落雷により、延焼し、昭和の時代に再現されてものです。構造は明治に制定された、文化財保護法により、詳細な図面が残っていたため、忠実に再現された塔といわれています。現在は、斑鳩3塔の一つとして、付近の風景に馴染んだ姿を見せています。

法輪寺の創建は620-70年ごろとされるが、中世に衰微し、金堂・講堂も江戸初期に倒壊、その後、整備されたが、昭和19年の落雷により、消失し、創建当時の伽藍は消えた。30年後に多くの人の寄進により、再建された悲運な歴史をもつ、寺で有ります。場所柄。三井寺、法林寺といわれますが、再建に活躍した、付近住民からは「うちの寺」と呼ばれ、親したしまれています。

 復興に活躍した、幸田文さんの尽力については公式HPが詳しいので参照ください。実際に、再建にかかわった、宮大工の「小川三夫」氏が書かれた、「宮大工と歩く奈良の古寺」*1は再建の様子を作る側の目線で詳しく記されていますので、合わせて、一読ください。心柱と礎石の役目、木の癖、塔の構造などに興味が尽きません。塔の構造を知るには、「日本のかたち 塔」*2と「古建築の細部意匠」*3もお勧めの資料です。

 この寺の見所は再建なった、三重塔以外に、火災から無事に運びだされた、多くの仏像も見所の一つです。秘仏である「妙見菩薩立像」は4月15日の妙見会式だけですが、講堂内の「本尊薬師如来像」と「虚空蔵菩薩像」と巨像の「木造十一面観音菩薩立像」(いずれも重文)は必ず、ご覧ください。「薬師如来像」の方は法隆寺の「救世観音像」とお顔がにていますが、作者は異なるようです。三井の言われとなった、井戸、法隆寺の瓦を作ったとされる、窯跡などもあります。少し、時間を割いてご覧ください。

     *1「宮大工と歩く奈良の古寺」 小川三夫 文春文庫

     *2「日本のかたち 塔」桑子編、山と渓谷社

     *3「古建築の細部意匠」近藤豊著 大河出版 


「法輪寺全景」です。中宮寺の次にいかがでしょうか

「法輪寺」へは中宮寺から、徒歩で15分ほどです。

今日の寺社データ



法輪寺の入り口です。築地塀は格式の高い5本線(門跡寺院)です。


再建復興され、50年近く経つ三重塔です。風景に馴染んだ姿は素晴らしい。

法輪寺の金堂です、講堂や仏像群は別途スライドをご覧ください。


         

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