奈良撮り歩き(23)宇陀市の室生寺を巡る

 今日の奈良撮り歩きは宇陀市の室生寺をご案内します。昨日の長谷寺と同日に巡るコースでご計画をお勧めします。昨日の長谷寺駅からさらに近鉄線にて、約15分の、室生口大野駅で下車して、山あいの路をバスで15分ほどかかります。長谷寺と同日の場合はこちら室生寺を済ませてから、長谷寺を後に廻ることをお勧めします。筆者は大阪から車で、来ましたが、先に長谷寺を行ったので、夕闇が迫る時間となった記憶があります。

 ここをじっくりご覧になるには、2-3時間は確保ください。午前、室生寺、午後、長谷寺がお勧めでしょう。奈良市内の大寺と趣きが異なる寺で、昨日の長谷寺は観音霊場ですが、こちらは山間修業の場として、後の桓武天皇になられる「山部親王」の病気平癒のため、興福寺の高僧がこの山にこもって、祈願し、親王が全快するという、霊験あらたかな場所です。

 桓武天皇が即位すると、寺の造営を命じ建立されたそうです。興福寺の僧に加え、比叡山の最澄の弟子、高野山から、空海の弟子など、天台宗、真言宗、の各宗派が兼学する、仏教大学の様相を呈していたお寺です。高野山は女人禁制ですが、江戸時代に入ると、興福寺からの独立と伽藍の改修に尽力した、五代将軍綱吉の母、桂昌院により、ここ室生寺は「女人高野」と呼ばれ女性にも開かれた寺となっています。

 見所は春から夏にかけ、咲き誇る、石楠花でしょう。勿論、国宝の金堂、本堂、五重塔にくわえ、仏像群も有名です。さらに、時間が許せば、奥の院まで、続く石段を登ると懸崖にたつ「位牌堂」や「御影堂」がご覧になれますので、ハイキング感覚で巡ってみるのも愉しみです。

 ①まず金堂ですが、柿葺きの優美な形で、内部に本尊の木造の釈迦如来像(国宝)ほか、薬師如来、地蔵菩薩、文殊菩薩がならびます。さらに一木から彫られた、十一面観音菩薩立像(国宝 高さ195.1cm)もおられます。五尊いずれも貞観時代の作といわれています。手前には鎌倉時代で、運慶の作といわれる、100cmほど12神将も並んでおり、国宝と重文の仏像の壮観さに驚きます。②金堂のすぐ、左手に弥勒堂があり、ここにも弥勒菩薩立像と釈迦如来坐像(国宝)がおられます。金堂左の石段(鎧坂)を登ると③本堂(潅頂堂)があり藤原時代の如意輪観音像が安置されています。

 本堂横の石段の上に④日本一小さい五重塔が建っています。この付近には石楠花が美しく咲き誇り、ベストの撮影ポイントでしょうか。法隆寺の五重塔に次ぐ、古い塔ですが、修復で塗りなおした、丹色が周囲の緑に映えます。この塔の相輪は独特のデザインで、一見に値します。

 さらに、塔の背後の道へ歩みをすすめます。ここら先の杉木立の中の階段(338段)を登りつめると、⑤御影堂(弘法太子の像)と懸崖にたつ、位牌堂が現れます。以上、簡単に見所を整理してみました。数多く、見所がある、寺です。お見逃しなきよう国宝の建物と仏像はリストアップしておきましたので、スライド集と合わせて、ごらんください。仏像については公式HP及び*1,2が詳しいので、是非、参照ください。

  *1「原寸大日本の仏像奈良編」講談社

  *2「原色日本の美術⑤密教寺院と貞観彫刻」小学館




「室生寺全景」です。山あいの緑に囲まれたお寺です。
上の奥の院までは階段が続きます。健脚向きでしょうか。
帰りのバスの時間に注意が必須

「室生寺へのルート」近鉄室生口大野駅からのバスルートです
1本/時間隔でバスの便があります。

「室生寺境内案内図」です。太鼓橋を渡ると、川沿いに正門と仁王門と続きます。


今日の寺社データ


・室生寺の国宝建築物

     金堂
     本堂(灌頂堂)
     五重塔
・国宝仏像ほか
     木造釈迦如来立像 
     木造十一面観音立像 
     木造釈迦如来坐像 
     板絵著色伝帝釈天曼荼羅図(金堂来迎壁)





「室生寺仁王門」です。表門の手前から右に折れ、受付を過ぎると、仁王門が有ります。
ここからが広大な寺域となります。

「金堂」です。柿葺きの優美な形で傾斜部に建っています。
回廊から仏像群をご覧になれます。境内詳細はスライドをご覧ください。
室生寺は山岳伽藍の配置といわれています。

「金堂内部の仏像群」です。詳細はスライドをご覧ください。
国宝の2体が貞観彫刻で、多は時代が下るとの解説もあります。

「国宝五重塔」です。日本で2番目に古く、一番小さい五重塔(15m)です。
石楠花と塔の赤と緑の絶妙のコントラストが素敵です。相輪の形は独特でスライドをご覧ください。


「奥の院」へ行く途中で見つけた地蔵様が印象的でした。奥の院の建物はスライドをご覧ください。

          



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